愛の園福祉会 お知らせ

コラム「足あとを灯す」 〜「第10編 水の記憶と自然の畏怖」

足あとを灯す 「第10編 水の記憶と自然の畏怖」

先日の激しい豪雨は、印旛沼周辺の堤防決壊や佐倉市の高崎川氾濫という厳しい爪痕を残しました。日常の風景が一変する様を目の当たりにし、水辺に暮らすことの意味を深く考えさせられています。

この地域を支える印旛沼と利根川、そして東京湾へと水を逃す印旛放水路(新川・花見川)の治水構造は、徳川の時代から先人たちが水害と闘い、命がけで切り開いてきた干拓と治水の歴史そのものです。沼や川の周囲に広がる豊かな水田は恵みの象徴であると同時に、水が本来集まりやすい低平地という地形の記憶を宿しています。印旛沼の水位が上がれば支流の高崎川の水が押し戻されるように、水理と地形の摂理は今も脈々と息づいています。

近代技術によって築かれた排水機場や堤防は地域を守る要ですが、時に自然は、人間の想定や計算を軽々と超えて牙を剥きます。土地の成り立ちや歴史を知ることは、恵みへの感謝とともに、自然への深い畏怖と備えを思い起こさせてくれます。

幼い命や職員の安全を預かる者として、大地と水の記憶に謙虚に耳を澄ませながら、日々の確かな備えを重ねてまいります。(理事長)